ワクチン接種について
ワクチン接種の目的
ワクチンのタイプ
ワクチン接種
卵内接種
初生ヒナへの注射
孵化場でのスプレー接種
農場でのスプレー接種
点眼・点鼻接種方法
飲水投与
翼膜穿刺接種
皮下注射/筋肉内注射
ワクチン接種の目的
養鶏現場では、野外病原性微生物の感染により起こる問題を予防し、または軽減するために、ワクチン接種を実施している。 ワクチン及びワクチンプログラムの有効性は広範にわたる。
ワクチン接種の1つ目の目的はその地域に特有の、猛威を振るう感染症に対して高いレベルの免疫を誘導し、感染の危機から鶏を守るために計画される。例えば内臓型急性ニューカッスル病(以下、ND)の場合等である。これらのワクチンは、軽度の症状を引き起こす場合があるが、致死性の野外病原体の感染リスクに対して、適切かつ有用である。ワクチン選択とワクチンプログラムの立て方は、養鶏場のリスクマネジメント及び経営合理化の面で重要である。各地域の状況はワクチンプログラムを策定する際に常に考慮しなければならない。
ワクチン接種の2つ目の目的は、種鶏に高い免疫を付与することで、種卵における移行抗体レベルを最大限に高めるというものである。ヒナの移行抗体は3週齢超の時期まで残存する。初生~3週齢まではヒナ自身の免疫機能が未発達であるため、移行抗体が感染防御の重要な役割を果たす。伝染性ファブリキウス嚢病(以下、IBD)ワクチンの種鶏への接種はその一例である。
ワクチンのタイプ
鶏用ワクチンは一般的に生ワクチンと不活化ワクチンに大別される。それぞれの主な特徴を表1.1に示す。
生ワクチンはウイルス、細菌及びコクシジウムなどの多くの微生物に関して実用化されており、その開発手法は広範である。表1.2にその代表的な方法と現在市販または開発中のワクチンの例を示す。
生ワクチンは、大量生産及び低価格での供給が可能であるため世界中で使用されている。免疫期間は通常短く、主に基礎免疫を付与するために使用される。例外は伝染性喉頭気管炎(以下、ILT)、鶏痘及びマレック病(以下、MD)に対する生ワクチンで、これらは長期の予防効果が期待できる。生ワクチンの本来の効果を十分発揮させるためには、添付の使用説明書に記載されているとおりの保管、調整並びに適用方法、及び接種量を遵守する必要がある。
多くの生ワクチンは冷暗所に保管するが、MD凍結生ワクチンのような細胞随伴性のワクチンは液体窒素中での保管が必要である。承認されたワクチンには、使用説明書記載の保管条件で保管した場合の有効期間が、バイアルのラベルに記載されている。これはワクチンによって異なるが、概ね18か月~2年間程度である。
ワクチンの調整方法も種類によって異なるが、スキムミルクなどの保護剤を使用することが推奨されている場合が多々ある。スキムミルクを添加することにより、塩素、金属イオンなどがワクチンウイルスに与える影響を低減することができる。細胞随伴性のMDワクチンの場合、アミン類を含有する特殊な溶解用液にMDワクチンを浮遊させる。この溶解用液中であればワクチン調整後から接種までの間、MDワクチン中細胞の活性を保持することができる。
十分な免疫応答を得るために必要な接種量は、ワクチンウイルスの種類、鶏の遺伝的背景、日(週)齢、鶏生体が保有している抗体レベル及び接種方法等の変動要因により異なる。実験室内でのワクチンの効果試験は、SPF(特定病原体フリー)の白色レグホーン鶏を使用し、接種可能な最少日齢の鶏に、有効期限の時点に含有されうる最少力価のワクチンウイルスを接種して結果を得るが、野外においては、臨床獣医師らは先述したすべての変動要因を考慮して特定地域の状況に適合した生ワクチン及びその最適接種量などを推測し、さらに鶏舎環境と地域に特有の疾病リスクを考慮して接種適期を判断する。重篤なワクチンの副反応または不十分な防御を認めた場合は、これら変動要因による判断を誤ったためである。
表1.1 ワクチンのタイプとその特徴表
生ワクチン | 不活化ワクチン | |
---|---|---|
抗原量 | 少量で効果発揮 | 多量の抗原が必要 |
ワクチン株の増殖 | 接種後生体内で増殖して効果を発揮 | 増殖しない |
接種方法 | 多羽数に対応できる接種方法 | 多くは注射 |
アジュバント | 通常含有しない | 通常含有する |
抗体の影響 | 受けやすい | 受けない |
ブースター効果 | 効果はない | 効果を発揮する |
局所免疫 | 刺激される | 追加免疫に使用すると再刺激が起こる |
微生物の迷入 | 危険性高い | 危険性低い |
副反応 | ワクチン株により種々副反応あり | 注射局所のアジュバントに起因する反応あり |
干渉作用 | 組み合わせにより干渉あり | 組み合わせによる干渉はほとんどない |
効果の発現時期 | 早い | 一般的に遅い |
表1.2. 生ワクチンの開発・利用方法とその例
方法 | 例 |
---|---|
病原性のある株を感受性の低い部位に接種 | ILT*ワクチンのクロアカ接種 |
野外分離株をワクチン株として使用 | Mg*-F株 |
病原性株の発育鶏卵継代 | IB*ウイルス |
熱感受性変異株 | 七面鳥コリーザ、ボルデテラ・アビウムワクチン |
化学物質を使用した変異株 | 家禽コレラ |
細胞継代による弱毒化 | ILT* |
発育鶏卵及び組織培養による継代 | IBD* |
プラーク選択によるクローン化 | ND*ウイルスLaSota株のクローン化ワクチン |
症状が出ない時期に投与 | AE*ワクチン |
*:略号(ILT;伝染性喉頭気管炎、Mg;マイコプラズマ・ガリセプチカム、IB;伝染性気管支炎、IBD;伝染性ファブリキウス嚢病、ND;ニューカッスル病、MD;マレック病、AE;鶏脳脊髄炎)
近年、遺伝子技術を応用した新しいワクチンの開発が進んでいる。ウイルスまたは細菌ベクターの遺伝子組み換えワクチンや、ウイルスまたは細菌の遺伝子欠損型ワクチンなどである。前者はウイルスまたは細菌をベクターとして、それらに他の病原性微生物の免疫抗原タンパクをコードする遺伝子を挿入したワクチンである。例として鳥インフルエンザ(以下、AI)ウイルスH5N2タンパク発現遺伝子を組み込んだ鶏痘ワクチン、NDウイルス抗原タンパク発現遺伝子を組み込んだ鶏痘ワクチン、及びIBDウイルス抗原タンパク発現遺伝子を組み込んだ鶏痘ウイルスまたはバキュロウイルスワクチンなどが上市されている。細菌ベクターワクチンとしては大腸菌やサルモネラ菌などに、それぞれコクシジウムや大腸菌の免疫抗原を発現する遺伝子を組み込んだワクチンが開発されている。遺伝子欠損型ワクチンとしては、サルモネラ感染症の低減を目的とした遺伝子欠損型Salmonella tiphimuriumワクチンが上市されている。
遺伝子組み換えまたは遺伝子欠損型のワクチンは、実験条件下では非接種対照と比較して防御効果があるとされている。野外における費用対効果は未だ確認されていないが、遺伝子組み換えワクチンの場合、従来のワクチンが普及していても感染リスクが高く、適切に鶏病管理ができない場合にメリットがある。遺伝子欠損型のワクチンの場合は野外感染とワクチン免疫を区別して診断する場合に利用される。この特性はILTの撲滅プログラムに有効に利用されている。
遺伝子技術を用いたワクチンの承認取得の際には、法律的に次の考察が必要である。つまりベクターとなるウイルスまたは細菌の遺伝子及びその表現型の安定性を証明することと、組み換え体の宿主域または組織親和性について、もとの微生物と比較しその相違性を明記することである。
養鶏産業で使用されている不活化ワクチンは、通常不活化した全菌体または全ウイルス体とアジュバントを混和し、皮下または筋肉内に注射するように開発されたものである。これらの多くは採卵用鶏または種鶏に長期間免疫を刺激し特異免疫抗体を付与するために使用される。
不活化ワクチンは2つの相、つまり抗原(水)相とアジュバント相を乳化して製造されている。この2つの相により、鶏生体における当該抗原に対する免疫応答を獲得できる。抗原(水)相とアジュバント相の比率はワクチンの品目によって異なる。これは抗原の特性、粘度、免疫反応、注射局所の反応等を検討し、工業的な製造設計により決定される。
鉱物油はアジュバントとして最も汎用されている。しかし、家禽コレラや伝染性コリーザなどの局所反応が強い抗原には水酸化アルミニウムゲルがアジュバントとして用いられている。 油性アジュバントの開発は現在も継続されており、より粘度が低く免疫原性の高いワクチンを作成するために植物油、魚油及び動物油などが候補として上がっている。
アジュバントを含むワクチンのヒトへの誤注射は避けなければならない。指や手への誤注射による深刻な事例も報告されている。受傷部位には腫脹、発赤または疼痛が認められ、時としてその部位の機能障害が残る可能性もある。受傷者は直ちに医療機関を受診し、医師にアジュバントを含む不活化ワクチンを注射してしまった旨を告げること。
DNAワクチンは、1990年後半に発展し始めた新しいタイプのワクチンである。これは生ワクチンのように液性及び細胞性免疫を獲得することが可能で、不活化ワクチンまたはベクターワクチンのように比較的安全である。DNAワクチンとしては養鶏業界では既にAI及びND、アヒルではアヒルB型肝炎のワクチンへの応用が成功している。DNAワクチンは有望であるものの、市場性を獲得するためには克服するべき技術的及び経済的課題が存在する。
ワクチン接種
ワクチン接種失宜はワクチン実施の失敗として最も頻発する原因の1つである。世界の養鶏産業の成功及び成長に伴い効果的かつ経済的な鶏用ワクチン接種方法が開発されてきた。広く採用されている接種方法として、17~19日齢卵の種卵に接種する卵内接種、初生ヒナに接種する皮下若しくは筋肉内注射、孵化場でのスプレー接種、農場若しくは孵化場で実施する点眼または点鼻接種、農場でのスプレー接種、農場での飲水投与、翼膜穿刺、または皮下若しくは筋肉内注射が上げられる。
卵内接種
卵内接種は、種卵をセッターからハッチャーに移卵する時点で実施する。卵殻に穿孔し、気室底部の卵膜下部にワクチンを接種する方法で、MD生ワクチン接種などの場合に応用される。移卵日齢(17~19日齢)により異なるが、ワクチン(約0.05mL)のうち25~75%が胚の頚部から肩部に注射される。漏れた分は胚周囲に浮遊する。マレック病生ワクチンを使用した試験では、卵内接種の方が初生皮下接種より早期にワクチン防御能力を獲得できたとの結果であった。
米国では8割を超えるブロイラーに卵内接種が実施されているが、その第一の理由は初生ヒナ皮下接種に必要な作業負担を軽減できるからである。卵内接種システム(Embrex Inovoject○REgg Injection System、Research Triangle Park, NC,)を導入した場合、1台のマシンに3人の作業者が操作して毎時20,000~30,000個の種卵にワクチン接種可能である。この接種方法では卵殻の穿孔は孵化日まで放置されるため、細菌やかびなどによる汚染の危険性がある。衛生管理のレベルの低い孵化場ではヒナの孵化率や健雛率が低下する。卵内接種に限らないが、孵化場では厳格な衛生管理を実施し、細菌やカビなどの汚染を除去しなければならない。
初生ヒナへの注射
初生ヒナの頚部皮下又は脚部筋肉内に注射する方法で、MD生ワクチンに適用される場合が多い。使用する注射器は、通常頚部皮下注射用には0.2mL、頚部筋肉内注射用には0.5mLを注射するように設計されている。
世界中で使用されているヒナ用自動注射器の多くは頚部皮下注射用である。訓練された作業員の場合、1時間に約1,600~2,000羽のワクチン注射が可能である。一般に20ゲージの注射針を使用する。これより細い注射針では細胞随伴性のマレック病生ワクチンの場合、細胞が針内を通過する際に障害が生じる恐れがある。
作業中何度か針を取り替えるべきである。作業中に針が摩耗してバリや歪みを生じ、それらがヒナにダメージを与えることを防ぐためである。不適切なヒナの保定や曲がった針でのワクチン注射はヒナの頚部筋肉や脊椎損傷の原因となる。
ワクチン注射後の状況を視覚的に確認するために、専用の色素をワクチン液に混和することがある。チックボックスに入れた注射済みのヒナ(約100羽/箱)を観察し、注射部位の着色を確認する。もしエラーの多いチックボックスがあれば、その作業スタッフは作業を急ぐあまり、ヒナを解放するタイミングが早すぎる、つまり針からワクチンが完全に射出される前にヒナを解放していると思われる。
孵化場でのスプレー接種
孵化場でのスプレーワクチン接種はスプレーボックスタイプとインライン式スプレーキャビネットタイプがある。前者はスプレーヤーにチックボックスを設置すると、その都度スプレーが稼働する。後者はオートメーション化された孵化場内で、スピード管理されたコンベヤーにより搬送されるチックボックスにワクチンがスプレーされるものである。いずれもND、IBなどの呼吸器系疾病またはコクシジウムのワクチンの場合に利用される。孵化場のスプレーワクチンは通常約100~150μmの粒子径の「散霧接種」が推奨される。スプレー滴の粒子径は非常に重要である。なぜなら相対湿度が低い場合、スプレー滴がヒナに届く時点で水分が一部蒸発し、粒子径の小さすぎる「噴霧状態」となっているからである。20μm以下の粒子径のスプレー滴は呼吸器の深部にまで到達するため、呼吸器系疾病のワクチンの場合、副作用を発症する危険性がある。使用するワクチンの液量は状況により様々である。NDやIBワクチンの場合、100羽につき7mLのワクチン液をスプレーする。コクシジウムの場合は100羽につき20~25 mLのスプレー液が推奨される。ヒナは、スプレー接種の後自分でまたは仲間同士で羽づくろいする。その行動がワクチンの免疫応答に重要だと考えられているが、この考えを裏付けるデータはない。
農場でのスプレー接種
閉鎖型給水システムの導入及び効果的な飲水投与のために掛かるコストの増加により、NDやIBなどの呼吸器系疾病のワクチン接種では、スプレー接種方法が採用される傾向にある。この方法では殺虫剤や殺鼠剤散布のためのスプレー技術が応用される。孵化場でのスプレーワクチン接種も農場でのワクチン接種方法も点眼接種を再現するものであるが、鶏舎内で一羽ずつ鶏を扱う必要が無い。
ワクチンを溶解するために一般的に蒸留水1が使用される。概ね2万羽につき5ガロン(1ガロン=約3.8L)のワクチン液をスプレーするが、これはスプレーヤーの種類により異なる。スプレー接種は朝一番に実施することが好ましい。可能であれば換気扇は止め、照明はワクチン接種作業ができる程度に暗くする。ワクチン接種の後15分以上は換気扇を作動させない。
スプレーの方法は、以下の通りに行う。
→鶏の頭部のやや上方から→頭上全体に5~10秒ほど→包み込むようにスプレーしながら→ゆっくりと鶏舎内を移動する。
スプレー滴が均一に分布し、安定的に射出される条件を模索してみると良い。またワクチン接種ごとにスプレーの外観パターンから推察することも可能である。おおよその粒子径がどのような外観になるのか下記表2に示した。
表 2. 粒子径と外観
径(μm) | 外観 |
---|---|
25~40 | 霧 |
50~100 | 霧雨 |
200~400 | 小雨 |
点眼・点鼻接種方法
点眼・点鼻接種は、ILTのような呼吸器系の疾病のワクチンに使用され、非常に有効な方法であるが、作業者の負担は大きい。点眼・点鼻によりワクチンを接種すると、眼または鼻孔にワクチン液が約0.03mL貯留する。いずれの方法でも接種部位(眼孔/鼻孔)にワクチン液が一滴溜まるようなワクチン接種器2が推奨される。ワクチン溶解用液に着色すると、ワクチン接種後目視により点眼・点鼻接種が成功したかどうか確認できる。着色は後鼻孔開裂周囲の口腔または舌の辺縁に認められることがある。
飲水投与
コマーシャル農場において最も一般的且つ有効な方法として飲水投与方法が採用されてきた。適切な飲水システムを準備し、塩素等の消毒剤を除去する。中和剤として50ガロン(約190L3)の水に1カップ(約240mL4)のスキムミルクを溶解した薄いスキムミルク液をワクチンシステムに通してさっと洗っておくとよい。中和剤のタイプはワクチンに添付の使用説明書に記載されている。こうした準備はワクチン投与の2日ほど前に行っておく。
最良の効果を得るためにはワクチン投与前に飲水を2時間程度断ち、軽く鶏ののどを渇かしておく。絶水の時間は気候の条件により異なるが、2時間以内にワクチンを飲みきる程度にのどが渇く状態が最適である。2時間であれば、すべての鶏が、最も弱い立場の個体でもワクチン液を飲むためには十分な時間である。しかし、これも気候の変化により定期的に調整する必要がある。
翼膜穿刺接種
翼膜穿刺接種は1羽ごとに保定を必要とするが、比較的迅速な作業が可能な方法である。主に鶏痘生ワクチン、家禽コレラ生ワクチン5などの接種に使用される。翼膜穿刺には2種類の穿刺器がある。1つは従来から使用されているもので、3cm程度のプラスチックの持ち手と2cm程度の溝のある穿刺針から構成されるシンプルな穿刺器であり、もう1つは新たに承認されたワクチン液ストッカー付きの穿刺器であり、鶏痘ワクチンや家禽コレラワクチンの接種で使用されている。これは1羽に穿刺すると次のワクチン液1ドーズ(概ね0.01mL)が針の溝に送られ、鶏に次々と穿刺することが可能である。
翼膜穿刺では、比較的羽毛が少なく骨や筋肉の無い場所を選ぶ。ワクチン液のついた針を接種する部分に差し込み、翼膜の両面の表皮を穿刺面から反対面へ完全に貫通させる。穿刺部にはほとんどあるいは全く出血は無い。穿刺により穿孔された部分からワクチンが感作される。接種後7~10日後に接種部位を触診して微少な肉腫のようなものを確認し、ワクチン接種が成功したかどうかを判断する。この肉腫のようなもの6 が形成された場合「ワクチンがテイクされた」と判断できる。適切なワクチン接種を行えば、通常95~100%のテイクが可能である。
皮下注射/筋肉内注射
皮下注射または筋肉内注射は通常種鶏及び採卵用鶏に適用される。ワクチン注射自体及びそれに伴う作業によるストレスが産卵成績に影響することを考慮し、産卵開始の少なくとも4週間前までには終了しておく。
皮下注射では、通常18ゲージ1/2インチの注射針を使用して頚部皮下に注射する。頭部と肩部の中間のあたりが皮膚をつまみあげやすい。ここに皮膚と筋肉の間に注射針を挿入し、鶏の体の方向にワクチンを射出する。ワクチンは鶏の皮下に貯留する。
筋肉内注射でも18ゲージ1/2インチの注射針を使用し、胸部または脚部筋肉に注射する。胸部筋肉内注射の場合、竜骨から2~3cm離れた胸部表面筋肉内に注射するのがもっとも安全である。針先は注射部位の体表面に対して45°の角度を保持すれば誤って肝臓や腹腔に針を到達させてしまう事故を避けることができる。脚部筋肉内注射の場合、脚部の腓腹筋の側面に注射する。
いずれの筋肉内注射も注射後長期間にわたり注射痕が注射部位に残る。注射痕がどの程度の期間残存するか、そのワクチンを構成するアジュバント及び抗原の種々の要因により異なる。注射対象鶏群を、最終的に肉用に出荷するのであれば、注射時期に気をつけなければならない。
【訳者注】
1: 原文でdistilled waterとなっているため
2: 例;点眼・点鼻器
3: 1ガロン=3.8L
4: 1カップ(米)=237mL
5: 国内では承認されていない
6: 善感発痘のこと
【出典】
Diseases of Poultry 12th Edition 2008 Chapter 1 P18~22
【監修】
栃木ラボラトリ所長 美馬 一行
【訳】
社長室 小林 千津